カジノ法案の今後を海外のカジノ戦略と依存症対策から学ぶ

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2016年末、「カジノ法案」とも呼ばれるIR推進法案が成立しました。カジノを含む周辺観光施設によって、その周辺地域の経済が活性化することを期待しての法案です。

注目が高まる一方で「青少年の健全育成」「周辺環境への影響」「反社会勢力の問題」などについて懸念されており、中でも「依存性問題」に対しては不安の声が多く挙がっています。

そこで今回は、世界の代表的なカジノ戦略と、代表的な依存症対策についての事例を紹介。日本のカジノ法案の今後を考える上での参考になればと思います。。

カジノ法案(IR推進法案)とは

一般的に「カジノ法案」と言われていますが、正式名称は「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」。略称で「IR推進法案」と呼ばれています。

IRとは「Integrated Resort」の略で、日本語に訳すと「統合型リゾート」。つまり「カジノなどの娯楽施設、飲食施設、宿泊施設などが合わさったエンターテイメント施設」を指すものであり、「IR推進法案」とはこの「統合型リゾート」の発展を望む法案、ということです。

IR施設の中でカジノ施設は売上のエンジン

世界ではすでにIRの運営は行われており、そこではカジノの運営も行われています。

世界の主要なIRを見てみると、IR内におけるカジノ施設の面積は、カジノ以外の施設の合計よりもはるかに小さく、その割合はわずか数%

一方、カジノ施設が売上に占める割合は4割〜9割にもなり、主要な売上がカジノ施設によるものだとわかります。

カジノ施設は小さな設置面積で潤沢な収益を生み出すエンジンのような機能を果たすのです。

主なIRに占めるカジノ施設の面積割合 (※画像クリックで大きなサイズで見られます)

世界各国におけるIR施設の実績

諸外国ではIRの導入により、雇用創出、税収効果のほか、観光・地域復興などの実績が挙げられています。IR推進法案の狙いもここにあり、日本でもIRを導入することによって経済の活性化が叶えばと考えています。

各国主要IRの概要 (※画像クリックで大きなサイズで見られます)

IRの導入による効果 (※画像クリックで大きなサイズで見られます)

参照元:IR(統合型リゾート)等新たに戦略的都市づくり 検討調査 報告書 | 平成27年3月 横浜市

懸念されるギャンブル依存症患者の増大

地域経済のプラス効果が期待できる一方で、ギャンブル依存症への対策を求める声が挙がっています。

厚生労働省研究班の調査では、ギャンブルをしたい気持ちが抑えられない「ギャンブル依存症」の疑いがある人は、国内に計536万人いると推計されました。これは成人の約5%に当たる数字になります。

研究班は「世界のほとんどの国では成人の1%前後にとどまるのに比べて日本の割合は高い」と指摘。カジノの設置による依存症患者の増大が不安視され、依存症患者への対策に注目が集まっているのです。

では、世界各国ではどのような依存症対策が実施されているのでしょうか。