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予期せぬ災害に見舞われたアパートオーナーが、その後対応すべきこと

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災害時には、様々な被害が想定されます。そして被害に見舞われた時にアパートオーナーがすべきことが、意外とわからなかったりするものです。

今回は、「賃貸契約や家賃はどうなるの?」「修繕や賠償責任は?」など、災害時にアパートオーナーが対応しなければならないことについて解説します。

災害時におけるアパートオーナーの責任は?

民法及び借地借家法では、地震などの自然災害が原因で建物が滅失した場合、賃貸契約は効力を失うとされています。そのため一般的な賃貸契約書には、災害時は「天災、火災の為、家屋が滅失した場合、本契約は消滅する」という旨が記載されています。

災害による損害についても、「当事者に帰すべきでない事由によって蒙った双方の損害に対しては、その責を負わぬものとする」と記載されているのが一般的です。つまり、アパートオーナーには原則として、自然災害による損害の賠償責任はありません

建物の損壊による入居者の家財に生じた損害に対しても賠償責任はなく、通常は入居者が入居時に加入する損害保険でカバーされます。

ただし、建物や塀などに何らかの瑕疵(欠陥)がある場合は、民法における「工作物責任」を問われ賠償責任が発生する可能性があります。瑕疵に対してアパートオーナーが適切な措置を怠った結果、入居者や近隣に被害が生じた場合は、損害賠償の責任を負うことになるのです。

損壊したアパートの修繕義務

民法には、「賃貸人(アパートオーナー)は賃貸物件(アパート)の使用・収益に必要な修繕をなす義務を負う」という定めがあります。災害で損壊しても修復できる範囲であれば賃貸契約は消滅せず、アパートオーナーに修繕する義務が発生します。

アパートオーナーに義務があるにもかかわらず修繕がなされず、入居者が要求しても応じない場合は、入居者自ら修繕して費用をアパートオーナーに請求することができます。その際、原状回復以外の修繕費用は対象になりません。

契約書に「入居後の修繕義務は賃借人(入居者)が負う」という特約が付いているケースがありますが、その場合に入居者が負担するのは小修繕で、災害などによる大規模修繕はアパートオーナーの義務という解釈が一般的です。

建物が滅失しないまでも、新築に匹敵するような大規模な修繕が必要で、アパートオーナーの経済的負担が大きい場合は、修繕義務が発生しないケースがあります。また、外壁にクラック(ひび)が入った程度で住むことに特に支障がない場合なども、修繕義務は発生しません。

しかし、修繕義務の有無を線引きする基準があるわけではないので、アパートオーナーと入居者の間でトラブルになるケースも少なくありません。最終的には裁判所の判断を仰ぐことになりますが、そうなる前に賃借人と協議してできる範囲で対応することが大切です。

建物の損壊と家賃負担の関係

修繕する際に工事が完了するまで、アパートオーナーは入居者に退去することを要求することができます。その間の仮住まいや引っ越しなどの費用を補償する義務はありませんが、家賃を請求することはできません。

住んでいる状態で修繕するような場合は通常の機能を欠いているので、入居者は家賃の減額を要求する権利があります。

入居者が自分で修繕して後で費用を請求してもアパートオーナーが修繕費用を払わない場合、入居者は家賃と修繕費用を相殺することができます。その際、アパートオーナーはそれを拒否することはできません。

修繕義務の有無や費用負担について入居者との間でトラブルが発生すれば、入居者が退去して家賃収入がなくなることも考えられます。そういう事態を回避するには、早い段階で家賃の減額や修繕内容について話し合っておくことが大切です。

災害で入居者が死傷した際の責任

大規模な自然災害の場合、建物の倒壊や火災の発生によって入居者が死傷することが考えられます。その場合、通常備えているべき安全性が確保されていれば、アパートオーナーは賠償責任を負う必要はありません

しかし前項で述べたように、所有するアパートが通常備えているべき安全性を欠いている場合は、アパートオーナーが「工作物責任」を果たしていないとして損害に対する賠償責任を負うことになる可能性があります。

民法717条には、建物など工作物の瑕疵が原因で損害が発生した場合、第一に占有者(賃借人)の責任が問われますが、占有者に過失がなければ所有者(アパートオーナー)が責任を負うべきと定められています。

アパートオーナーには、アパートが通常備えているべき安全性を確保する義務があります。そのため定期的な点検やメンテナンスを怠ると、自然災害が原因であっても、入居者が死傷した際の責任を問われることになるのです。

まとめ

法的な責任と、人としての責任は別ものです。法的な義務はもちろん、災害に備えて入居者の暮らしに配慮するのはアパートオーナーとしての大事な役割です。実際に災害が発生した時は、互いにできる範囲で助け合うことが大切ではないでしょうか。

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