メリットとデメリットで比較する空き家の様々な活用法

  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア

実家は財産どころか「負債」になる?!

「遠方で一人暮らしをしていた親を呼んで一緒に住むことにした」「親が介護施設に入った」「両親とも亡くなった」――さまざまな理由で、実家の住み手がいなくなり、空き家を所有する人が増えています。

「空家対策特別措置法」も2015年5月に施行となりました。管理の行き届かない空き家が「特定空き家」に認定されると、固定資産税の大幅なアップや解体の勧告を受けることがあり、市町村長の命令に違反した場合は五十万円以下の過料が科される場合があります。

解体をするにも100万円を越える費用が掛かり(鉄筋コンクリート造の場合はさらに大幅に費用がアップ)、廃材・家具・ゴミの処分費も解体費用と同じくらい掛かってしまいます。

親の家(実家)を相続することは、資産が増えるどころか、対策に悩まされ、解体費・処分費の負担が発生する可能性もあり、むしろ「負債」を抱えることになりかねません

昨今「空き家となった実家をどうするか」は、次の世代にとって切実かつ重大な問題となっています。

「空き家」対策の選択肢はいろいろあります

では、空き家をどうするか?対策は下記の表のようにいろいろあります。

対策 メリット デメリット
住まいとして使う
  • 親代々のものを引き継いでいける
  • 当面不要な家具などの置き場所になる
  • 臨時の宿泊先として使える
  • 間取りが古くて暮らしが不便
  • 水回りが古く、快適さに欠ける
  • 老朽化している場合は、修繕費用、その後も維持費が掛かる
  • 賃貸して収入を得る
  • 思い出のある家を壊さずに済む
  • 家賃収入が得られる
  • 生活者がいるので、住宅としての機能が維持ができる
  • 立地によっては店舗として課すこともでき、街の活性化に貢献できる
  • 貸し出しに備えて内外装を調える費用が掛かる
  • 管理運営の手間と費用が掛かる
  • 普通借家契約では、賃借人の立ち退きが貸主の思うようにならないことがある
  • 店舗として貸し出した場合は、住居に戻すことが難しい
  • 売却する
  • 現金化できる
  • 固定資産税が不要になる
  • 管理の手間がなくなる
  • 代々受け継いできたものを失うことになる
  • 売却に伴い、仲介手数料や登記費用、クリ-ニング費用などが発生する
  • 譲渡所得税が掛かる
  • 解体して更地(借地)にする
  • 空き家の管理などに神経を使う必要がなくなる
  • 様々な活用の可能性が広がる
  • 建物の撤去や整地に費用が掛かる
  • 固定資産税が高くなる
  • 借地にする場合は管理業務が発生する
  • 解体撤去後、事業用地として活用(商業施設等への建替)する
  • 新たな収入源になる(「高齢者施設」「シェアハウス」「民泊」「アパートマンション」「店舗」さらに「駐車場」「トランクルーム」「資材置き場」「太陽光発電」など、事業用途は多岐にわたる)
  • 事業に伴い多くの費用が掛かる
  • 事業経営が計画通りに運ばない可能性がある
  • ひとまず現状を維持する
  • 特に新たな対策を取る必要がない
  • 活用法をじっくり検討できる
  • 光熱費が掛かる
  • 庭木の手入れ、郵便ポストのチェック、不法な侵入者がいないかなど、「特定空き家」の指定を受けないよう、日常的なチェックや管理をすることが必要になる
  • 地価の下落により資産価値が下がる可能性がある
  • 寄贈する
  • 社会的な貢献になる
  • 自分の目的のために活用する可能性がなくなる
  • しかし、実際には大きな決断となり、また、きょうだいがいる場合は相続などの調整も発生します。

    どの対策がベストな選択なのか、決めることは容易ではありません

    高齢化やライフスタイルの多様化が進んだことから、実家が空く頃には次の世代も年齢を重ねており、住み慣れた自宅を所有しているケースがほとんどです。また、多くの場合、実家は立地が悪く、建物も老朽化しています。

    人に貸す場合も、貸す以上は相当な費用を掛けてリフォームしなければなりませんし、管理・運用という手間と費用が発生します。そもそも、旧い家に魅力を感じて積極的に借りたいと考えるファミリー層はほとんどありません。

    解体して更地にするのも、解体費・家財の処分費、整地費がかかり、しかも更地のまま所有すれば、固定資産税は、家が建っていたときの3倍から最大6倍にも跳ね上がります。

    特に空家対策特別措置法の施行以後は、社会的な注目が集まり、地域にとっては防災や治安、景観などの面から不安材料と見られてしまいます。早めの対策が必要になっています。

    ひとまず管理を依頼し、時間をかけてしっかりと対策を練ることも

    現在は空家の管理サービスを行ってくれる管理会社や不動産会社も多く、毎月、換気や通水、水漏れの確認、郵便受けの確認と報告をしてくれます。さらに、除草や簡易清掃、災害臨時対応なども頼むことができます。

    これによって空家対策特別措置法の問題はおおむね解決できるのではないでしょうか。

    容易に結論が出ない場合は、こうした管理サービスを利用して空き家を健全な形で維持し、つつ、結論を急がずにしっかりとした対応策を練られることもお勧めします。