2016年度上半期の新設住宅着工戸数を読み解く!そこから見える下半期の傾向とは

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2016年上半期の住宅着工戸数は6%増

今年の上半期の全国における新設住宅着工戸数は50万151戸でした。前年同期を6%上回る結果となっています。

上半期としては昨年に続き2年連続での増加です。1年の住宅着工戸数に換算すると、概ね100万戸に近い数字になると予想されます。

中でも、貸家の着工戸数は前年同期比11.1%増の21万7,770戸となっており、持家が同じく3%増の15万2,836戸。分譲住宅は同1.4%増の12万6,604戸でした。

貸家の伸びが目立ちますが、これは相続税対策によるアパート、マンションの建築戸数が相当数あることによるとみられます。

相続税対策として昔から行われてきた貸家の建築は、相続税の改正に伴う節税や、ローンの超低金利が続く中で融資を受けやすい環境になっていることが追い風となっています。

その他の持家や分譲住宅の伸びは貸家ほどではありませんが、分譲の一戸建ては6万7,872戸と、前年比約9.6%の伸びとなっています。

逆に、分譲マンションの新設着工戸数は5万7,537戸と前年比マイナス7.1%となっており、新築のマンションは調整局面を迎えつつあるようです。都心の急激な不動産価格の上昇もあり、新築のマンション販売も勢いが止まっている感が強く出ています。

目立つ貸家の増大

上半期の特徴はやはり貸家の戸数の伸びが目立つことです。

平成27年の相続税改正に伴い、今まで相続税を払わなくてもよかった人が新たに相続税を払う側になってしまったため、その節税策として貸家の建設が増加したものです。

しかし、こうした貸家の増加にともない空室も目立つようになっています。
特に、首都圏近郊では空室率30%台の地域もあり、今後も引き続き現在の勢いで貸家が供給されていけば、アパートなどの空室率はさらに上昇する可能性が高くなります。

この傾向はマイナス金利政策の継続によるローン金利の低下や各金融機関の資金需要が不動産関連の融資に向いているため、しばらくは続くかと思われます。

下半期はどうなる?

上半期での契約物件が来春の入居時期に併せて、これから着工し始めます。アパート建設が有効な相続税対策であることから、上半期同様に貸家の着工戸数は伸びると予想されます。

また、分譲住宅ではマンションの着工戸数が9月単月では前年比23%増になっており、8月の前年比-33%と比べると大幅な伸びを示しています。不動産投資に多くの資金が流れ込んでいることの表れとみられます。

ただ、都心ではマンションの完成在庫も上半期後半から増えつつあり、竣工前の完売物件も出にくい状況です。完成在庫が売り切れないと新規の販売も難しい状況となり、マンションの着工戸数は今後伸び悩むと思われます。

一方、一戸建ての着工戸数は上半期同様に一定の水準で増加傾向になるでしょう。
超低金利の住宅ローンの時代ですから住宅購入には最適となっており、消費増税となる前に購入するという一定の流れは続くとみられます。

新設住宅着工戸数は全体としては緩やかな上昇、もしくは横ばいの数値が見込まれると思われますが、何らかの経済的な要因に変化が見え始めると、マイナス傾向になります。今後も注視していくことが必要です。

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