2016年度の税制改正!住宅関連はコレをチェックすれば間違いなし

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高性能の住宅取得に関する優遇措置を継続

2016年度の住宅関連税制では、消費税率10%への変更による税負担増緩和を目的に、住宅新築に伴う税の軽減が引き続き図られることになっています。10%への税率変更は再延期の可能性も報道されていますが、その実施・延期にかかわらず、固定資産税の減額等が実施されます。

固定資産税の減額では、2000万円の住宅を新築した場合、3年間で約22万円の負担減となります(国土交通省の試算)。毎年末の住宅ローン残高の1%が10年間にわたり所得税の額から控除される住宅ローン減税も継続されており、最大控除額は10年間で400万円(長期優良住宅の場合は500万円)にのぼります。なお、この住宅ローン減税は、新築住宅だけでなく中古住宅にも適用され、リフォーム工事でも100万円以上の工事費の場合は、ローン減税の対象となります。(ただし、省エネやバリアフリーリフォームを行った場合は、独自のリフォーム減税のほうが有利な場合がありますので、注意してください。(リフォーム減税との重複利用は不可)。

消費税が2%アップするかどうか、気になるところですが、住宅の建築資金については、このようにさまざまな減税措置が取られており、過剰に消費税アップ時期を意識せずに、「建てたい時期に建てる」のが得策といえそうです。仕事の変化や子供の成長、さらに親の介護などとの兼ね合いで、どの家族にも一番の"建て時"があります。消費税アップ時期よりも、まずはその時期の判断が大切でしょう。

税目 主な特例措置
固定資産税 新築住宅に係わる税額の減額措置の延長(2018年3月31日まで適用)
(1)一般の住宅:3年間 税額を2分の1に減額
(2)マンション:5年間 税額を2分の1に減額
登録免許税
不動産取得税
固定資産税
認定長期優良住宅に係わる特例措置の延長

登録免許税
  • 所有権保存登記:0.15%→0.1%
  • 所有権移転登記(戸建て):0.3%→0.2%
  • 所有権移転登記(マンション):0.3%→0.1%
不動産取得税
  • 課税標準からの控除額:一般住宅1,200万円→1,300万円
固定資産税
  • 一般住宅の特例(2分の1に減額)の適用期間を3年→5年(戸建て)、5年→7年(マンション)
  • 固定資産税 耐震、バリアフリー、省エネ改修が行われた既存住宅に係わる特例措置の延長・拡充
    工事翌年の固定資産税の一定割合を減額:耐震/2分の1減額、バリアフリー/3分の1減額、省エネ/3分の1減額
    所得税
    個人住民税
    空き家の発生を抑制するための特例措置の創設
    相続人が、相続により生じた古い空き家、またはその空き家の除却後の敷地を譲渡した場合譲渡所得から3,000万円を特別控除(2019年12月31日まで)
    所得税
    個人住民税
    居住用財産の買換え等に係わる特例措置の延長

    ・譲渡損が生じた場合
    住宅の住替え(買換え)で譲渡損失が生じた場合であって買換資産に係る住宅ローン残高がある場合は、所得金額の計算上控除(以降3年間繰越控除)
    ・譲渡益が生じた場合
    マイホーム(自分の住んでいる建物やその敷地)を譲渡し、譲渡利益が生じた場合、譲渡利益から3,000万円を特別控除して譲渡所得を計算
    所得税 三世代同居に対応した住宅リフォームを行う場合の特例措置の創設(別に解説)

    ご存じですか? 「住まい給付金」

    しかも現在は「住まい給付金」制度があります。「すまい給付金」は、消費税率引上げによる住宅取得者の負担を緩和するために創設されました。住宅ローン減税は、支払っている所得税等から控除する仕組みですから、収入が低いとその効果も小さくなってしまいます。「すまい給付金」は、そういう人にも消費税率引上げによる負担軽減を図ることを目的に創設されたものです。

    「住まい給付金」がもらえるのは、住宅を取得し登記上の持分を保有するとともに、その住宅に自分で居住する人で、かつ、収入が一定以下の人が対象です。(消費税8%時においては収入額の目安が510万円以下、同10%時においては収入額の目安が775万円以下)。自分がもらえるかどうか、もらえる場合、だいたいいくらくらいか、シミュレーションができるインターネットサイトもあるので、興味のある方は試してみてください。

    空き家対策の特例措置もスタート

    空き家が毎年増加していることは、すでに報道されているとおりです。2013年時点で、すでに全国に820万戸。5年前に比べ63万戸(8.3%)増加し、空き家率(総住宅数に占める割合)は,13.5%と過去最高になりました。

    空き家が放置されると、周辺の生活環境への悪影響がでるだけでなく、空き家の約60%は「耐震性がない」と判断されていることから、倒壊により道路がふさがれ災害時に避難の妨げになることも考えられます。そこで「使える空き家は利用し、使えない空き家は除却する」という観点から、空き家の除却や撤去後の土地の有効利用を促すため、新たな税制がスタートしました。具体的には、上の表で見たように「相続人が、相続により生じた古い空き家または当該空き家の除却後の敷地を平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に譲渡した場合、譲渡所得から3,000万円を特別控除する」というものです。

    従来、相続した空き家と敷地を売却したとき、取得時期が古くて「いくらで買ったのか」が分からなければ、売却金額の95%が利益とされ多額の譲渡所得税が発生していました。

    今回創設された税制なら、売却益から3,000万円を控除することができるので、もし売却益が3,000万円以内なら、譲渡所得税はゼロになります。時限立法です。ぜひ賢く利用したいものです。